GIGAスクール構想について(代表質問より)
情報化が急速に進む現代社会において、ICT活用能力は社会参加に必須となる能力の一つとなっています。
さらに、サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合する社会(Society 5.0)といった未来を生きる子どもたちにとっては、従来の知識やスキルに加えて、ICT活用能力や問題解決能力、コミュニケーション能力、適応力、倫理観といった多様な能力が求められます。
子どもたちが将来、社会で活躍できるよう、学校教育をはじめ社会全体で取り組んでいくことが重要です。
そのような中、世界に比べて日本の学教教育では、ICT環境の整備が遅れているという課題が長年指摘されていました。
この状況を改善するため、政府は2019年に「GIGAスクール構想」を発表し、全ての小・中学生に1人1台の端末と高速なネットワーク環境を提供して、ICTを活用した教育を推進することとしました。
新型コロナウイルスの感染拡大による学校閉鎖をきっかけに、全国の小中学校に端末とネットワークの整備、オンライン学習やデジタル教材の活用などが前倒しで実施されました。
一方、GIGAスクール構想の実現に向けた整備が短期間のうちに一気に進んだこともあり、教員の負担増やネットワーク環境の影響などで、学校によってはICT端末の活用に差が生じるといった課題もあるようです。 そこでお伺いします。
ICT端末を活用した授業の実施状況と課題はどうか?
本年4月に行った全国学力学習状況調査の結果によると、1人1台端末を授業で週3回以上活用している学校の割合は、小中学校ともに8割を超えており、多くの学校で日常的な活用が進んでいます。
しかしながら、毎日活用している学校と、週1日以下の活用に留まる学校がともに一定数見られるなど、学校間で差が生じていることが課題であると認識しております。
さらに、調べ学習においては多く使われている一方で、児童生徒同士のやりとりにおいてはあまり使われていないなど、端末の活用場面が限定的であり、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、一層効果的な活用が必要であると考えております。
ICT端末を活用した授業の推進に向け、どのように取り組んでいくのか?
県教育委員会では、これまで、文部科学省から学校DX戦略アドバイザーを講師に招いて、各市町村のICT教育担当者を対象とした研修会を開催したり、ホームページやリーフレット等で好事例を周知してまいりました。
今後も、ICT活用に関する研修をより多くの教職員が受講できるようオンラインやオンデマンドでの受講を可能にしたり、各教育事務所による学校訪問において端末の効果的な活用について指導するなど、様々な手段を通じて教職員の指導力向上に努めてまいります。
さらに、一部の学校には業務改善DXアドバイザーを派遣し、校務のデジタル化を推進することにより、教職員のICT活用に対する意識改善を図り、授業における活用につなげてまいります。
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令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果によると、学校における主なICT環境の整備状況では、本県は児童生徒1人あたりの教育用コンピュータ台数(1.0)は全国44位、教員1人あたりの指導者用コンピュータ台数(0.94)は全国47位、無線LANまたは移動通信システムによりインターネット接続を行う普通教室の割合(95.7%)は全国42位でした。
また、教員のICT活用指導力の状況では、すべての項目で全国平均値を下回っているものの、令和4年度中にICT活用指導力(の状況の各項目)に関する研修を受講した教員の割合(61.6%)は全国46位となっています。
GIGAスクール構想の目的は、「多様な子どもたち誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現されること」とされています。GIGAスクール構想の実現のためにも、すべての児童生徒が平等にICTを活用できる環境整備をはじめ、教員がICTを安心して使えるような研修やサポート体制の強化につとめていただくよう要望しました。
【参考資料】
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