解体工事の安全確保について(一般質問より)
昨年の9月20日、千葉市にある3階建てビルの解体工事現場で、足場と建物の一部が崩れて散乱し、1ヶ月以上歩道を塞ぐ状態になりました。
また、本年の1月9日、旧千葉市文化交流プラザの解体工事現場において、3階部分の除去作業中、切断した梁を2階の床に置いたところ、床が崩れ落ち、1階で作業をしていた男性二人が、がれきの下敷きとなり亡くなりました。
このような事故は、作業員の命を脅かすだけでなく、周辺住民への被害や地域の経済活動に大きな影響を与えます。
事故の原因としては、老朽化した建物の構造的な問題、安全対策の不十分さ、作業手順の誤りなどが考えられますが、これらの事故は、解体工事の危険性を改めて認識させるとともに、安全確保の重要性を強く訴えかけています。
コンクリートの寿命は50年から60年と言われていますが、今後、高度経済成長期以降に建てられた建物が寿命を迎え、建て替えや解体が増えることが予想される中、解体工事現場における事故を未然に防くことが求められます。そこで伺います。
解体工事の安全確保について、県ではどのように取り組んでいるのか?
建築基準法では、工事現場の危害の防止を図るため、工事の施工者は、仮囲いの設置や、 落下物による危害防止等の措置を講じることとされています。
国においては、解体工事における事故の危険性を幅広く捉えた「建築物の解体工事における外壁の崩壊等による公衆災害防止対策に関するガイドライン」を策定し、施工者等に対し、事故を防止するための留意事項を示しているところです。
県としては、法令遵守及びガイドラインに基づく危害防止策の徹底により、建築物の解体工事における安全確保が図られるよう、特定行政庁及び解体工事関係団体に周知してまいります。(都市整備局長)
昨年9月に発生した倒壊事故の解体工事現場では、夜間作業であったことや飛散防止対策がされていなかったこと、石綿の事前調査結果が掲示されていなかったことなど、さまざまな問題があったことが指摘されています。
関係者が千葉市に問い合わせたところ、解体の元請け業者からはリサイクル法の届出がされておらず、石綿事前調査結果報告もされていないなど、多くの法令違反が行われていました。
業者が違法行為を行う背景には、解体に伴う工事費を少しでも安く抑えたいとの施主や施工業者の思惑があります。
一方、大気汚染防止法などの改正により規制が強化され、2022年4月より、一定規模以上の解体・改修工事には、事前調査結果の報告が必須となったほか、2023年10月からは有資格者による事前調査が義務化されました。
このことにより、調査者等の資格取得費用や事前調査費用をはじめ、アスベストを含む建材の除去費用や廃棄費用など、アスベスト対策の費用負担が増加しています。
業者が法令を遵守して適切なアスベスト対策を講じ、県民や作業員の命と健康を守るためにも、アスベスト解体時に係る費用の助成を行うべきではないでしょうか。そこで伺います。
アスベスト解体時の助成を行うべきと考えるがどうか?
国では、吹付けアスベストの飛散による建物利用者の健康被害防止のため、吹付けアスベストに対する含有調査費や除却費用等への助成を行う市町村に対し、その経費の一部を支援しております。
今年度、県内では、この支援制度を活用し、3団体が吹付けアスベスト対策に係る助成を実施しています。
県としては、引き続き、国のアスベスト安全対策にかかるリーフレットを活用し、建物所有者へ対策の必要性を啓発するとともに、支援制度について、県内自治体へ周知してまいります。(都市整備局長)
◇
アスベスト対策の費用負担を軽減するため、自治体によっては、アスベストの含有調査費をはじめ、除去工事費や資格取得講習費を補助しています。市町村に対しては、国の支援制度の周知を徹底いただくとともに、県としてもアスベスト対策への支援を検討いただくよう要望しました。
【参考資料】
石綿総合情報ポータルサイト(厚生労働省)
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