兵庫県動物愛護センター視察
人と動物が共生する社会づくりをめざして、ペットの適正飼養や動物愛護思想の普及啓発に取り組む、兵庫県動物愛護センターへ伺ってまいりました。
兵庫県動物愛護センターでは、犬猫の引き取りや動物取扱業の登録指導をはじめとする動物管理業務と、負傷動物の応急処置や譲渡事業といった動物愛護業務を行っています。
近年、高齢化の進展やコロナ禍における需要増を背景に、犬や猫といった愛玩動物の重要性が高まっています。
兵庫県では、15歳未満の人口よりも、犬や猫の飼育頭数が上回ることに加え、犬よりも猫の飼育頭数が多いことから、近年では、犬に関する苦情相談から猫に関する苦情相談へとシフトしてきました。
猫の問題に対しては、地域の状況に応じた取り組みを行うことにより、将来的にその数を減らしていくことが求められます。
そのためには、飼い猫については完全屋内飼育の推進、飼い主のいない猫(地域ねこ)については適正な管理、自らテリトリーを守り生活している猫(野良ねこ)については正しい距離感を保つことが重要となります。
そこで、猫の飼い主をはじめ、猫を飼っていない人を含めて、社会全体が猫の完全屋内飼養の重要性を認識するとともに、屋内飼養の可視化、ふれあい事業の実施、譲渡事業の推進を目的として、動物愛護センター内に猫の完全屋内飼養モデルルームが整備されました。
猫には木の上から獲物を狙う習性があるため、犬とは違い、上下運動ができる空間があれば、それほど広いスペースを必要とせず、ストレスも感じないとのことです。
そのため、モデルルーム内には、上下運動ができる階段や隠れる場所が作られており、猫の飼養に必要なものや接し方などを体験的に学べる工夫がされていました。
また、モデルルームにいる猫は、とくに人慣れしている選抜された猫が飼養されており、数か月のお役目を終えると、譲渡会にて、新たな飼い主さんのもとへと渡っていきます。
猫の譲渡にあたっては、事前に譲渡先の家庭訪問を行い、完全屋内飼育ができる環境にあるかを確認するとともに、法令や適正飼養に関する講習会なども行われます。
さらに、譲渡した半年後には、飼育環境と家族との関係を確認するとともに、各家庭の状況に応じたアドバイスを行うなど、フォローアップもされています。
適正飼養や終生飼養をとおして、命の大切さを学べる施設となっていました。
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