河川管理について(一般質問より)
高滝ダムの緊急放流について
台風13号の接近に伴って、湿った空気が流れ込み、房総半島に線状降水帯が発生。本県の南部や北東部を中心に、8日未明から昼過ぎにかけて猛烈な雨が降り、県内各地で浸水被害や土砂災害が発生いたしました。
公明党千葉県本部では、9月8日「台風13号災害対策本部」を設置し、被害状況の把握と情報の共有を行っていたところ、市原市にある高滝ダムの水位が、これ以上、貯水できない水位に迫ってきたため、「午後2時以降に緊急放流を行う見込み」との連絡が入りました。
緊急放流は、ダムが貯水できない状態に近づいた場合、ダムに流れ込む水と同じ量を放流する緊急的な措置ですが、下流の養老川の水位が急激に上昇するため、氾濫の可能性が生じてしまいます。
市原市より、養老川沿いの洪水浸水想定区域にある3万6,745世帯、7万1,337人を対象に、緊急安全確保が発令されたため、動向を注視していたところ、降雨の状況が予測を下回り、ダムへの流入量が減少したため、緊急放流を見合わせることになりました。
令和元年10月25日の大雨をきっかけに、事前放流によるダム貯水量の調整をはかり、豪雨に備えることになりましたが、県内には、高滝ダムや亀山ダム、片倉ダム、矢那川ダムといった県管理の治水ダムが4基あり、豪雨時の対応について質問しました。
県が管理する治水ダムの事前放流や緊急放流は、どのように決定され、どのように周知されるのか?
事前放流は、治水機能を強化させるために大雨の前に、予めダムの貯水位を低下させ、貯留量を増やす操作であり、流域内の24時間降雨量が150ミリ以上と予想された場合に、市や関係機関に通知した上で、実施することとしています。
また、緊急放流は、大雨によりダムが満水位を超えることが予測される場合に、ダムへの流入量をそのまま下流に放流する操作であり、ダム下流の住民へ避難情報を事前かつ的確に伝えるために、市など関係機関に対し、実施見込みについては概ね3時間前までに、実施決定については1時間前に、それぞれ通知することとしています。
◇
養老川の河川整備計画について
気象庁の観測データによると、大雨の年間発生回数は年々増加しており、強い雨ほど増加率が大きくなっています。
1時間降水量80mm以上や3時間降水量150mm以上、日降水量300mm以上といった強い雨は、1980年ごろと比較すると、その発生頻度は約2倍に増加しています。
9月8日の大雨の際、本県内では記録的短時間大雨情報が11回発表されており、12時間に降った雨量の最大値は、茂原市で371.5mm、大多喜町で328mm、鴨川市で294.5mmなど、わずか半日で平年の9月1か月分を超え、統計を取り始めてから過去最多となりました。雨の降り方も変化しており、今後も風水害が激化していくことが予想されます。
養老川の河川整備計画の内容を確認するため、県のホームページで検索したところ、平成21年に作成した最終原案で止まっているようでした。
気候変動の影響も踏まえ、これまでの河川整備に加えて、流域治水の考え方を取り入れた、河川整備計画の見直しや対応が求められることから、県の考えを確認しました。
養老川の河川整備計画の策定状況、および今後の予定はどうか?
計画の策定に向けて、流域懇談会における学識経験者等の意見も踏まえ、これまで国と協議を重ねてきましたが、養老川は流域面積が広いことから、近年の線状降水帯や集中豪雨などの局所的な降雨が強く影響することなども踏まえ、更なる検討・協議を進めているところです。
また、激甚化する水害をより軽減させるため、これまでの河川整備の取組に加え、あらゆる関係者が協働し、流域全体で取り組む流域治水の考え方も踏まえ、引き続き河川整備計画の策定に向けて取り組んでまいります。
◇
河川整備計画については、近年の降雨量に見合った計画の策定をお願いするとともに、今回の大雨で氾濫した村田川などの県管理河川についても、順次、整備計画の策定を進めるよう要望いたしました。
◇
河川排水機場について
本県には、大雨による河川の氾濫を防止するため、河川の水を海などへ、ポンプを駆動して強制的に排水する県管理の河川排水機場が23か所あります。
これらの排水機場は、昭和40年代以降、順次整備されてきましたが、河川ポンプ設備の一般的な耐用年数は30年~40年といわれており、排水機場の約4割が40年以上経過するなど、老朽化が進んでいます。
そのような中、会計検査院が全国各地の河川管理施設を抽出調査したところ、約4割の施設に併設された操作室の耐震強度の不足や、耐震性が不明であることが明らかになりました。
頻発する風水害や首都直下地震が想定される中、いざというときに使用不能であることは避けなければなりません。排水機場の老朽化対策・耐震対策について質問しました。
県管理河川における排水機場の老朽化対策や耐震対策はどうか?
県では、老朽化が進む排水機場の機能維持を図るため、長寿命化計画に基づき、予防保全型の整備・更新を行っており、今年度は猫実排水機場など7箇所において、自家発電設備などの更新工事を行っています。
また、耐震対策としては、最新の耐震基準を満たしていない堀江排水機場と境川排水機場において耐震設計を行っているほか、耐震性能を確認するため、芦田排水機場など3箇所において耐震診断を進めています。
引き続き、県民の生命・財産を守るため、老朽化対策や耐震対策を進め、施設の機能維持に万全を期してまいります。
0コメント