HPVワクチンについて(代表質問より)
HPVワクチンは、本年4月より、定期接種対象者への積極的勧奨が、約9年ぶりに再開されました。また、同時に、積極的勧奨を差し控えていた期間に、定期接種年齢を過ぎてしまった女性についても、再度接種する機会を設けるというキャッチアップ制度も開始されました。
そこで、こうした新たな対応により、どのくらい接種率が上がったのかを調べたところ、一部の政令市についてのみではありましたが、その数値を見つけることができました。
10月7日の厚生労働省の資料ですが、第一回の実施率は16.6%と記されていました。これは決して多い数字とは言えませんが、実は、その資料に書かれている留意事項を見ると、16.6%どころか、実際には3%~4%程度のようにも 読み取れる不明瞭な書き方でした。
そこで、まずは2点、HPVワクチンについての周知と接種状況について質問しました。
定期接種対象者やキャッチアップ対象者への周知はどのように行っているのか?
従来の定期接種及びキャッチアップ接種の対象者への周知については、どの年齢を周知対象にするのかなどは地域の実情に合わせて各市町村で判断し、対象者等への個別通知によって行うこととされております。
各市町村の令和4年度の個別勧奨の取組状況を調査したところ、定期接種については、対象者のうち令和4年度に13歳以上となる者全てに個別勧奨を行う市町村が最も多く42市町村、キャッチアップ接種につきましては、年齢を限定せず全ての対象者に個別勧奨を行う市町村が最も多く51市町村となっております。
県では、HPVワクチンについて接種対象者等を周知することを目的として、本年8月に広
報啓発用のポスターを作成し、各市町村や医療機関及び学校関係機関に配布し、周知を図ったところです。
県内市町村の接種状況はどうか?
HPVワクチンの接種については、令和4年度から定期接種の積極的勧奨が再開され、3か年に限り、キャッチアップ接種を行うこととされました。
その結果、本年9月末の接種状況は、速報値ベースで、従来の定期接種が1万4,866人、キャッチアップ接種が1万5,521人の計3万387人となっており、昨年度の接種者数2万2,410人を上回っております。
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10月2日の「ランセット・パブリック・ヘルス誌」、これは世界の医学界では非常に権威のある五大誌の一つと言われておりますが、この「ランセット・パブリック・ヘルス誌」には、『2007年からワクチン接種に取り組んできたオーストラリアでは、子宮頸がんを起こす型のHPVは、実に77%激減し、今後10年間で子宮頸がんが ほとんどなくなるだろう』という研究報告が掲載されました。
一方、わが国では、子宮頸がんの根絶どころか、毎年約1万人が罹患し、約3,000人が亡くなるという、女性にとっては深刻な疾患であり続けています。
そんな折に、厚生労働省は、これまでの2価ワクチンや4価ワクチンよりも、高い感染予防効果がある 9価HPVワクチンを、来年4月以降の早い時期から、定期接種とする方針である と報道されました。
これらの情報が確実に市町村へ周知され、活用につなげることが重要であることから、今後の周知について確認しました。
今後、厚労省から発せられる新たな情報をはじめ、定期接種の実施を念頭に置いた予算確保などの準備に関して、県内市町村へはどのように周知していくのか?
本年11月18日に開催された国の「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」での議論を踏まえまして、来年度から9価HPVワクチンの定期接種化の方針等が示されたことから、各市町村に対し情報提供するとともに、予算確保等について検討を依頼したところです。
引き続き、国の動向を注視するとともに、各市町村へ周知し、連携を図ってまいります。
【参考資料】
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