ECMOの整備について(一般質問より)
国立感染症研究所がまとめた報告書によりますと、国内で感染が拡大している新型コロナウイルスは、従来型に比べて感染力が高い英国型変異株(アルファ型)へと遷移しており、5月中旬の段階でおよそ9割が変異型ウイルスに置き換わったと推定しています。
さらに現在では、アルファ型変異株よりもさらに感染力が高く、従来型の1.8倍の感染力をもつインド型変異株(デルタ型)に置き換わりが進んでおり、7月上旬にはアルファ型の割合を上回ると試算されています。
また、「調査対象が限定的なため、結論付けることは困難」としながらも、重症化する割合は、従来型が1.6%であるのに対して、変異型は5.5%との調査結果を公表しました。
国内の新型コロナウイルスが、感染力や重症化率が共に高い変異型に置き換わっていることに加え、まもなく開会を迎える東京オリンピックやパラリンピックによる、人流の増加によって生じる感染の拡大と、それに応じた重症患者の増加が危惧されていますが、そのような中、重症患者を救う鍵となるのが人工心肺装置であるECMOです。
本県で重症患者の数が最多の55名であった1月28日に、ECMOを装着した重症患者は8名であったと伺いました。割合で言えば、15%の重症患者の方がECMOを装着したことになります。
今後発生し得る感染拡大を見越した医療提供体制、とくに重症患者に対する体制を整備しておかなければならないことから、ECMOの整備状況と今後の計画について伺いました。
ECMOの整備に対して、県はどのような支援を行っているのか?また、ECMOの更なる整備に向け、今後どのように進めていくのか?
対外式膜型人工肺、いわゆるECMOは、人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療のための医療機器であり、人工呼吸器などを用いても救命困難な重症患者に使用するものです。
県では、医療機関が新型コロナウイルス感染症患者の治療のために、使用するECMO等を整備する費用について補助を行っており、令和2年度は、8病院から申請のあったECMO11台の整備費用について補助しました。
令和3年度は、令和2年度からの繰越分8台に加え、新たに医療機関からの要望のあった4台、計12台の整備に対する支援を見込んでおり、必要額を6月補正予算に計上したところです。
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新型コロナウイルス感染症への対応について ECMOは血液を体外に出して酸素を取り入れる特殊な装置であるため、ECMOの取り扱いに精通した医師や臨床工学士、看護師など10名以上が、24時間体制で対応しなければなりません。
昨年、国が民間に委託して行ったECMOの講習会には、本県から36名の医療従事者の参加があったようですが、本年は行われておらず、今後、重症患者が増える可能性があるなか、機器の整備だけでなくECMOに習熟した医療従事者の確保も必要です。
県としても、研修の機会確保に努めていただき、ECMOを使用できる医療従事者の育成と体制整備を進めていただくよう、要望しました。
※県に確認したところ、県内のECMOの総数は把握できないものの、新型コロナ用に準備されているECMOの数は昨年度の時点で20台とのことでした。今年度はさらに12台の整備が計画されており、順調に整備が進めば、30台を超える体制で臨むことができます。
ワクチン接種が行き渡る前の、最後の体制整備となることを祈ります。
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