教員の負担軽減について(代表質問より)
県内の小学校で教鞭をとる先生方と懇談する機会がありました。
教員の長時間労働が問題視される中、教員からは切実な声が聞かれました。
本来の出勤時間は8時だそうですが、朝7時前から学校に到着し、事務作業や授業準備、保護者対応に追われます。その後、登校する児童を迎え入れ、朝会、健康観察、欠席者連絡などを行うと、1時間目が始まります。
そして、6時間目の授業が終わると、打合せや会議、部活動指導や生徒指導、面談が続き、退勤時間は16時半と定められているものの、残務処理で19時、場合によっては21時、22時まで残業するそうです。
県教育委員会では、教員の長時間労働が深刻化していることを受け、「学校における働き方改革推進プラン」を策定し、数値目標を掲げて推進していますが、現状では十分な成果が出ていないとの指摘もあり、さらなる取り組みが必要と考えます。
そのため、現状と今後の取り組みについて、何点か質問させていただきます。
スクールサポートスタッフ
教員の事務作業の一部を補助するスクールサポートスタッフについて、今年度から全小中学校に配置する予算が計上されました。しかし、人材の確保ができなければ、負担軽減につながりません。そこで伺います。
スクールサポートスタッフの配置状況はどうか?また、全校配置に向け、人材確保にどのように取り組むのか?
県教育委員会では、教員の事務作業を補助するスクール・サポート・スタッフの配置を、今年度から、全公立小・中学校等に拡大することとしました。
本年5 月30日現在、公立小中学校等982校中784校、全体の約8割の学校で配置が完了しており、引き続き、採用を進めているところです。
今後とも、県ホームページや県民だよりへの掲載、ハローワークやジョブサポートセンター、民間の求人サイト等の活用、各学校・地域での声掛け等、積極的な情報発信を行い、必要な人材の確保に努めてまいります。
勤務時間外における対応
勤務時間外における、保護者や外部からの問い合わせについては、緊急時の連絡方法を確保したうえで、留守番電話の設置やメールによる連絡対応ができる体制の整備を行うとしています。そこで伺います。
勤務時間外での、子どもの登校の見守りや電話受付などについての現状と対応はどうか?
子どもの登校の見守りについては、文部科学省により「学校以外が担うべき業務」と分類されています。昨年12月の同省の調査によると、県内市町村の7割が「学校以外の主体が中心」と回答しており、地域住民や保護者等によって実施されています。
また、勤務時間外の電話受付については、昨年11月に県教育委員会が実施した千葉市を除く53市町村への調査において36市町村が「留守番電話等で対応」と回答しています。
県教育委員会では、こうした現状を踏まえ、「学校における働き方改革推進プラン」を本年3月に改定し、見守り等の改善が徹底されるよう明記したところです。今後とも学校訪問や各種会議等で好事例を紹介するなど、更なる教員負担の軽減に取り組んでまいります。
小学校専科非常勤講師
全教科を担当する教員とは異なり、ある教科のみを専門的に教える専科非常勤講師を活用することにより、教材研究の準備などの負担軽減にもつながります。
また、専門的な教科指導の充実や質の高い授業を行い、子どもたちの成長をより効果的にサポートできることから、県では今年度も、小学校専科非常勤講師を増員して配置すると伺いました。そこで伺います。
小学校専科非常勤講師の配置状況はどうか?また、人材確保にどのように取り組むのか?
県独自の小学校専科非常勤講師の配置は、経験の浅い若手教員の授業改善や、児童の学ぶ意欲、理解度の向上などにつながったと評価を得ているほか、担任の授業時数の軽減を図る上でも有効な手段であると認識しております。
そのため、県教育委員会では、今年度更なる配置の拡充を行うこととし、昨年度末の136校から、本年6月1日時点では、12校増の148校に配置しております。
今後とも、指導実績が豊富な退職教員に協力を依頼するとともに、指導可能な外部人材をリスト化して活用するなど、一層の人材確保に努めてまいります。
部活動の地域移行
中学校においては、教員不足に加えて、部活動などの課外活動の指導により、多忙を極めていることが指摘されています。
学校における働き方改革推進プランの中でも、業務改善の柱として部活動の負担軽減を掲げており、教員に代わって部活動の指導や大会の引率を担う、部活動指導員等の配置を促進するとしています。そこで伺います。
部活動の地域移行についての現状と課題はどうか?また、今後どのように取り組むのか?
今年度は、国の実証事業を活用して地域移行に取り組む市町が、前年度から14団体増えて22市町となるなど、取組が進んできています。
また、指導者と市町村をつなぐ広域人材バンクには820名を超える登録があり、既に活用している市町村もあります。
一方で、指導者の確保や体制づくりの進捗状況などが地域によって異なり、単独での
推進が困難と考えられる市町村もあります。
このため、県教育委員会としては広域人材バンクの更なる活用を促すとともに、今年度新設した県全体を統括するコーディネーターを中心に、複数の市町村による広域的な連携について協議する場を設けるなど、地域に寄り添った丁寧な支援を行ってまいります。
◇
教員の働き方改革に取り組む姿勢は、各学校の校長や管理職の考え方やとらえ方次第で、大きく異なっているようです。県内すべての学校で、教員の負担が軽減するよう、教育委員会からも力強く後押ししていただくことを要望しました。
【参考資料】
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