有害鳥獣対策について(代表質問より)
令和4年度の本県における野生鳥獣による農作物被害は、被害金額が2億6,959万円、被害面積は256.1haとなりました。
防護柵の設置や生息環境の管理、捕獲などの取り組みを進めることにより、平成30年度の被害金額4億1,710万円からは徐々に減少してきましたが、未だ県内の中山間地域においては、野生のイノシシやサル、シカによる被害は続いており、地域住民の方からは対策を望む声をいただきます。
近年では、イノシシの生息域が拡大しているほか、シカやサルの群れによる家屋等への被害の相談も増えていると伺いました。
鳥獣被害は営農意欲の減退をもたらし、耕作放棄や離農の増加、さらには森林の下層植生の消失による土壌の流出、車両との衝突事故などの被害もあり、被害額としては、数字に表れる以上に影響を及ぼしていると言われています。
有害鳥獣対策を主として進めるのは市町村ですが、市境を関係なく移動する有害獣については、単独の市町村だけでなく、近隣の市町村と連携した対策の強化が重要であり、さらには広域行政を担う県のリーダーシップが必要であると考えます。そこで伺います。
有害鳥獣対策における市町村間連携の促進に向け、県の積極的な関与が必要と思うがどうか?
広域で移動する野生鳥獣による農業被害等の防止のためには、市町村連携等により、捕獲や防護などの対策を効果的に実施していくことが重要です。
このため、県では、地域ごとに市町村や関係団体と連携した「野生鳥獣対策連絡会議」を開催し、農作物の被害状況、国や県の補助制度等を共有するとともに、周辺地域での有害鳥獣の出没状況を踏まえた広域捕獲に係る意見交換などを行っています。
今後は、広域捕獲に加え防護柵の管理などを含む幅広い事例について、県内だけでなく他県の取組状況を会議の場を通じて紹介するなど、市町村間の連携を促進してまいります。
ジビエでの活用について
農作物に被害をもたらす鳥獣別にみると、突出して多いのがイノシシであり、被害金額の約43.5%、被害面積は45.5%を占めています。
有害獣としてみたイノシシは田畑を荒らす困った存在ですが、ジビエとして活用すれば有益な資源となります。本県では、イノシシやシカの肉を房総ジビエとして活用を促していますが、私の地元市原市においても、イノシシ肉をいちはらワイルドポークとして活用する取り組みが行われています。
捕獲されたイノシシの活用状況を確認したところ、令和4年度の捕獲数は2万2,087頭で、大部分のイノシシは、埋設もしくは焼却処分されていると伺いました。殺処分して終わりではなく、命を無駄にせず、大切にいただく取り組みを、より一層進めていく必要があるのではないでしょうか。そこで伺います。
捕獲したイノシシのジビエでの活用に関する現状と課題はどうか?また、一層の活用に向け、今後どのように取り組んでいくのか?
県内におけるイノシシ等の処理加工施設は現在14か所で、令和4年度は、捕獲数の約1割にあたる2,240頭が食肉として処理されていますが、捕獲したイノシシの処理 加工施設への速やかな搬入や、衛生面における安全性の確保などが課題と認識しています。
このため県では、市町村等による処理加工施設の整備経費への助成や、衛生管理基準を学ぶ解体従事者向けの研修、「房総ジビエ」フェアの開催などに取り組んできたところです。
さらに、有害獣を食肉として利活用することを進めるため、本年度は県内の処理加工施設を対象に、捕獲から処理に要する時間や衛生管理の方法などの実態調査を行うこととしており、調査結果を踏まえながら、引き続き、「房総ジビエ」が広く県民に親しまれるよう取り組んでまいります。
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本県では、県南部を中心に14箇所の野生鳥獣肉の処理施設が稼働していますが、狩猟後に処理施設へ搬入する時間は1~2時間が望ましいとされており、処理施設までの距離や搬送時間が課題となっていました。
そこで、車内で一次処理を行える移動式解体処理車(通称ジビエカー)を活用することで、搬送時間の短縮と衛生的な処理が可能となり、ジビエの利活用促進が期待されます。
ジビエカーの導入やリースには、国の交付金による支援を受けることができますが、その制度を知らない市町村も多いようです。
交付金にはジビエカー以外にも様々なメニューが用意されていますので、市町村への周知を強化し、ジビエの利活用促進をはかるよう要望しました。
【参考資料】
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