中央児童相談所視察

千葉県内には、県管轄の児童相談所が6箇所※あります。その中の一つである千葉県中央児童相談所が、施設の老朽化とともに入所児童が多く狭あい化していたため、旧青少年女性開館を改修した所に中央児相の機能を移転し、この7月に供用開始となりましたので、公明党県議団で視察に行ってまいりました。

児童相談所とは、18歳未満の児童に関するあらゆる問題について、地域住民からの相談に応じて、児童にとって最善の利益を図るために、児童や保護者に最も適した援助や指導を行う行政機関です。主な業務としては、相談判定機能、措置機能、一時保護機能、市町村援助機能があり、児童福祉司や児童心理司をはじめ、保育士、看護師、医師、警察官等の方々が職員として勤務されています。

今回伺った中央児相では、10市(成田、佐倉、習志野、市原、八千代、四街道、八街、印西、白井、富里)および2町(酒々井、栄)を管轄しており、管轄地域の人口136万人、面積1,132km2、児童21万2千人と、全国的に見ても範囲が広いため、これまで25名であった一時保護の定員を30名増やして55名定員となりました。

児童相談所に寄せられる相談にはどのようなものがあるのでしょうか。主な相談内容としては、養護相談(児童虐待など)、心身障害相談、非行相談、育成相談などがあり、令和元年度における中央児相の相談件数(総数)は5,726件、内訳は養護相談(虐待)が最も多く2,645件(46.2%)、次いで心身障害相談(療育手帳判定など)2,435件(42.5%)が続き、これらで相談の約9割を占めています。

問題となるのが児童虐待に対する相談ですが、平成21年度に530件だった相談件数が、年々右肩上がりに増え続けて令和元年には2,589件となり、10年で約4.9倍にまでなってしまいました。その要因とし挙げられるのは、平成19年に行われた児童虐待防止法の改正により心理的虐待の規定が広がったことや、兄弟が虐待を受けている場合その兄弟は心理的虐待を受けていると判断されること、(以前は少なかった)家庭内トラブルでの110番通報が増えたこともあるようです。

また、虐待の内容別に見ると、心理的虐待が最も多く(47.0%)、次いで身体的虐待(30.5%)、ネグレクト(20.4%)、性的虐待(2.1%)となり、実母や実父から虐待を受けるケースが大半のようでした。

児童虐待に関する相談がはいると受理会議を行いますが、ほぼ毎日会議を行っているとのことで、視察に伺った日も一時保護を行ったそうです。

児童相談所が抱える課題を伺うと、拡充されて一時保護の定員が55名になったものの、現在すでに63名が一時保護されており、すでに定員超過となっており、最低基準を下回って保護してしまっているとのこと。家庭環境が悪くて保護しているにも関わらず、基準を満たせない中で保護するのは非常に心苦しく、委託保護をはじめとした多様な委託先の確保・拡充の必要性を訴えておられました。

現在、千葉県内には、柏児相、市川児相、中央児相、君津児相、銚子児相、東上総児相と千葉児相(千葉市管轄)があります。児童虐待相談件数の増加に伴い、今後、県では管轄区域の再編を行い、児童相談所を2箇所増設する予定であり、さらに、柏市および船橋市が新たに設置する予定です。

多くの子供たちが明るい未来を描けるよう、虐待のない社会を築いてまいります。





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